【ツールVol.15】~アトツギの新規事業開発の思考法~ 第13回:ピクト図で考える
前回は10個の代表的なビジネスモデルを当てはめてみることをご紹介しました。この方法で、採用できそうなビジネスモデルがないか考えてみることで、思いもよらなかった価値の届け方があるかもしれません。
また、これらは必ずしも単独で採用する必要はなく、組み合わせることでより高い価値を生み出す可能性がありますので、様々な組み合わせを試して頂くと良いかと思います。
組み合わせをある程度決めた段階で、最後にビジネスモデルを「見える化」するツールである『ピクト図解』を紹介していきます。
そもそも『ピクト図解』とは何か
『ピクト図解』とは、誰が(Who)誰に(Whom)何を(What)いくらで(How much)の「3W1H」に着目し、ビジネスモデルを見える化するツールとなります。
ピクト図解の大原則
現代のビジネスは随分と複雑なものであるように思えますが、実はその基本は大昔と何ら変わっていないのが現実です。「誰か」と「誰か」 が、「何か」と「お金」を交換するということが、ビジネスモデルの本質となります。
大原則①:
ビジネスとは「交換(⇄)」である
まだ世界に「お金」というものがなかったころに、人は欲しい物があると、それを持っている人と自分の持ち物とを交換するという取引をしていました。魚と野菜を、あるいは野菜と肉を、というように両者が合意して、同じ価値だと認めて物々交換をする。これこそが、「ビジネス」の始まりだったといえます。
大原則②:
絵心不要のシンボル記号を使う
物々交換の時代から、「お金」の誕生、そして「会社」の登場を経て、ビジネスは「人や会社が、物とお金を交換しあう」というように発達してきたわけです。イラストが苦手な人でも自分の考えを可視化できるように、『ピクト図解』では「シンボル記号」を使用して作図します。あくまでも「記号」なので、絵心は不要となりますので是非取り組んでみて下さい。
表記ルール
続いて、簡単に『ピクト図解』の表記ルールを説明します。
『ピクト図解』に用いるシンボル記号は非常にシンプルですの、2つのルールだけ頭に入れておくと良いかと思います。
ルール①:シンボル記号
使用する記号は、3種類の「エレメント」と2種類の「コネクタ」、そして2種類の「オプション」のみとなります。これだけです。
ルール②:描き方3W1H
文章を読み解く際は「5W1H」が重要と言われますが、ビジネスモデルの把握に必要なのは、「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「何を(What)」「いくらで(How much)」売って儲けているのか、ということです。
ピクト図解とは、この「ビジネス3W1H」をビジネスモデル図に落とし込む手法ということもできます。ピクト図を描く時は、ビジネス3W1Hを意識し、「誰が」「誰に」「何を」「いくらで」の順に描き進めます。
以上が『ピクト図解』のルールとなりますが、代表的な『ピクト図解』を見ることで更にイメージを膨らませていければと思います。
【ピクト図解:事例】
◆髭剃りのビジネスモデル
髭剃りに関する『ピクト図解』です。髭剃り(本体)という初期費用と、専用の替刃というランニングコストの仕組みが簡潔に表されています。このピクト図解では「男性」の時間軸(“矢印記号にTマーク”)が考慮されており、顧客と髭剃りの長期的な関係がシンプルに提示されています。
家業を活用した新規事業で考えてみる
本記事の冒頭で記載した『ピクト図解』のルールに沿って、新規事業を図解で見える化してみましょう。
描いた後には人へと説明し、理解できるかを何度か繰り返していくことでよりビジネスモデルがブラッシュアップしていくと思います。
また、他の企業のビジネスモデルも日頃から、『ピクト図解』を用いて、図示していくことで家業を活用した新規事業を考える上での引き出しが増えていくことも期待できます。
今回、アトツギが新規事業開発を考える際には、どのような順序で新規事業を考えていくのが良いのかを、実際に新規事業を始めるアトツギの目線から、全13回でアトツギが新規事業開発を行う際の思考方を整理してきました。今回の連載で、アトツギのみなさまの新規事業開発へと少しでもお役立ちが出来れば幸いです。
【参考ウェブサイト】
ダイアモンドオンライン:ピクト図解とは?ビジネスモデルを“見える化”する思考ツール
https://diamond.jp/articles/-/8235
ピクト図解メソッド
プレゼンで役立つ、ピクト図解の書き方を学んでビジネスモデルをスマートに提案!話題の具体例6選
https://goworkship.com/magazine/picto-zukai/
【アトツギの新規事業開発の思考法:全13回】
第1回:イノベーションのジレンマ&プロダクトライフサイクル
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/697
第2回:アナロジー思考
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/734
第3回:テクノロジーの進化『ムーアの法則(Moore’s law)』
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/735
第4回:共進化から想像する
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/932
第5回:潮流から汲み取る①『未来を描く「SINIC理論」』
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1198
第6回:潮流から汲み取る②『VUCAの時代』
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1200
第7回:潮流から汲み取る③「自分軸」の重要性
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1205
第8回:潮流から汲み取る④バックキャスティングとフォアキャスティング
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1213
9回:リボンフレーム(未来の兆し一覧、理想・問題、家業(あなた)の強み棚卸)
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1226
第10回:競争優位の源泉とは
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1239
第11回:ビジネスモデルキャンバスの活用
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1248
第12回:10個の代表的なビジネスモデルを当てはめてみる
https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/1257
第13回:ピクト図で考える(本記事)