2021.03.26
事業開発ツール

【ツールVol.14】~アトツギの新規事業開発の思考法~ 第12回:10個の代表的なビジネスモデルを当てはめてみる

前回はビジネスモデルキャンバスをご紹介しました。このツールを用いることで、ビジネスモデルを考える上で必要な事項を抜け漏れなく検討することができ、また第三者にアイデアを共有する上でも有用なので、他者から意見やフィードバックを貰いたい時などに活用すると便利かと思います。

ビジネスモデルキャンバスではまず初めに誰に、どのような価値を提供するかを考えていくことは前回説明の通りですが、ではその価値を家業のリソースを用いて、どのように顧客に対して届けるのかということを順に考えていくことになります。このプロセスで活用できるツールを今回は紹介していきます。

 

10個の代表的なビジネスモデル

 

世の中には沢山のビジネスモデルが存在しますが、大きく分けると10個の代表的なビジネスモデルに類型化することができます(もちろん類型に当てはまらないものもあるかと思います)。顧客と提供する価値が定まった時点で、その価値の最適な届け方まで定まれば問題はないのですが、他にもっといい方法はないのか思案したり、逆になかなか思いつかない時に頭の体操として考えてみる、という形で活用することで良いアイデアに繋がるかもしれません。

10個のビジネスモデル類型

1.小売モデル:他社から製品を仕入れて、自社では販売に特化するビジネスモデルです。スーパーやコンビニなどが当てはまります。こちらは馴染みがありイメージしやすいかと思います。

2.広告モデル:自社製品やサイトに他社の広告を掲載するビジネスモデルです。プロスポーツ(試合会場やユニフォームなどの広告)やウェブメディアなどでこのようなビジネスモデルが見られます。

3.合計モデル:目玉商品などの競争力の高い商品を用意し、追加オプションでの購入(ついで買い)を狙うビジネスモデルです。パッケージ旅行などがこれにあたります。

4.2次利用モデル:商品やコンテンツを再利用して収益を上げるビジネスモデルです。マンガが売れた後に映画化やグッズ販売などで収益を上げるモデルがこれにあたります。

5.レンタルモデル:商品は自社が保有したまま、それを貸し出して収益を得るビジネスモデルです。DVDレンタルなどがこれにあたります。

6.直販モデル:卸しや小売といった中間業者を省き、ダイレクトに顧客に販売するビジネスモデルです。テレビ通販やD2Cなどがこれにあたります。

7.サブスクリプションモデル:月額料金を徴収して、サービスや商品を提供するビジネスモデルです。月額制のジム、英会話教室、携帯電話やインターネットなどもこれにあたります。

8.フリーミアムモデル:基本料金無料で商品やサービスを提供し、有料版の利用を狙うビジネスモデルです。Saasビジネスの多くは無料版の提供をしていますが、そのようなケースがこれにあたります。

9.プラットフォームモデル:製品・サービスを提供する側とユーザーとを仲介するビジネスモデルです。顧客と印刷会社を結びつけるオンライン印刷サービスなどがこれにあたります。

10.消耗品モデル:本体価格は抑え、付属の消耗品やメンテで収益を上げるビジネスモデルです。替刃の販売を行っているひげ剃りやコピー機販売などがこれにあたります。

 

家業に当てはめて考える

 

まずは以上のモデルに当てはめてみながら、採用できそうなビジネスモデルがないか考えてみてください。思いもよらなかった価値の届け方があるかもしれません。

また、これらは必ずしも単独で採用する必要はなく、組み合わせることでより高い価値を生み出す可能性があります。例えばプロサッカーでは試合会場やユニフォームにスポンサーの広告を掲載する広告モデルを採用する一方で、グッズなどの販売を行う2次利用モデル、年間パスの販売といったサブスクモデル等、複数を組み合わせて採用することで収益を出すポイントを増やしています。

 

このように既にある具体的なビジネスなどを抽象化し、それを基に自社での応用を検討するという考え方はアナロジー思考とも関連します。当連載の第2回でそちらを紹介しておりますので併せてご参照ください。

 

【ツールVol.4】~アトツギの新規事業開発の思考法~ 第2回:アナロジー思考

https://take-over.jp/slp/wpist/archives/labo/734

【参考ウェブサイト】

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー ビジネスモデルは「基本パターン」の組み合わせで考えよ

https://www.dhbr.net/articles/-/2461

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