2021.03.18
事業開発ツール

【ツールVol.11】~アトツギの新規事業開発の思考法~ 第9回:リボンフレーム(未来の兆し一覧、理想・問題、家業(あなた)の強み棚卸)

第5回~第8回の4回に亘ってお送りしたテーマである「潮流から汲み取る」では、環境の変化が激しいVUCAの時代においてはニーズへの対応、顧客の求めるものやサービスの提供といった旧来のやり方では事業の持続が困難になってきていることを連載してきましたが、今回は実際に『リボンフレーム』というフレームワークを活用して、課題や家業の強みから事業の根拠となる点を抽出していきます。

リボンフレームとは

世の中の変化の兆しを捉えた上で、今後起こるであろう問題や課題を抽出し、家業のリソースを活用してどのように解決策を導き出すかを思考するフレームワークです。これを行うことでなぜ家業でその事業に取り組むべきなのか、どのようにして優位性を確保するのか、についての論理立ての補助としても活用できます。

【リボンフレーム】

早速ですが、リボンフレームはどうやって埋めていくのでしょうか?

 

リボンフレームワークは、

①問題

②課題

③家業の強み

④解決策

⑤根拠

の5項目に分かれます。

 

実際には、

まず、①問題と②課題を埋め、

次に、④解決策と③家業の強みを埋めます。

最後に、②課題と③家業の強みを組み合わせて、⑤根拠を埋めるというステップを踏みます。

 

リボンフレームの進め方

 

1.まず、ニュースなどから身の回りの未来の兆しを10個挙げます。

2.1.の中から、重要なもの(家業と関連がありそうなもの)を3つ挙げます。

3.2.の兆しが将来及ぼすかもしれない希望や機会(可能性)または問題(危険性)について考えます。

 

※将来及ぼすかもしれない希望や機会(可能性)または問題(危険性)の挙げ方(図)

 

4.3.で考えた可能性または危険性について、現在とのギャップを「問題(①)」とします。

5.4.で考えた問題を解決するためにすべきこと(「課題(②)」)を挙げます。

 

※この場における「問題」と「課題」の定義(図)

 

6.5.の課題の解決策として考えられるもの(「解決策(④)」)を(一般論でいいので)それぞれ挙げます。

7.「家業の強み(③)」を挙げます。

 

※家業の強みとは(図)

 

※家業の強みを挙げる時のポイント(図)

 

8.「解決策(④)」について、「家業の強み(③)」が最も活かせそうなものが何かを考えます。

9.解決する課題について、どのように家業の強みを生かして解決策へと繋げていくのかの説明を「根拠(⑤)」に書きます。

 

リボンフレームの進め方のイメージはついたでしょうか?

それでは、実際に具体例を用いてリボンフレームを実践していきます。

 

リボンフレームの活用例(例:地方のリフォーム会社のアトツギの場合)

 

1.まず、身の回りの未来の兆しを10個挙げます。

⇒空き家が増えてきている(例なので10個挙げてません)

 

2.1.の中から、重要なもの(家業と関連がありそうなもの)を3つ挙げます

⇒空き家が増えてきている(例なので3個挙げてません)

 

3.2.の兆しが将来及ぼすかもしれない希望や機会(可能性)または問題(危険性)について考えます。

⇒特に地方で空き家が増えて治安が悪くなったり、住みにくい街になったりして地域の衰退が起こる危険性がある。

 

4.3.で考えた可能性または危険性について、現在とのギャップを「問題()」とします。

⇒現在はまだマシだが、このまま空き家がどんどん増えて地域が衰退する。

 

5.4.で考えた問題を解決するためにすべきこと(「課題()」)を挙げます。

⇒空き家を活用する、デザインを良くする(ことで空き家に住んでくれる人が増えて空き家活用)、リフォーム価格を安くする(ことで空き家に住んでくれる人が増えて空き家活用)、地域に人を呼ぶ(ことで空き家を活用してくれる)

 

6.5.の課題の解決策として考えられるもの(「解決策(④)」)を(一般論でいいので)それぞれ挙げます。

⇒空き家をリノベして民泊をする、空き家を買ってリフォームして売る(デザインを良くする、安くリフォームする)、空き家を紹介するプラットフォームを作る(地域に人が来る仕組みを作る)

 

7.「家業の強み(③)」を挙げます。

⇒不動産とリフォームをワンストップで提供できる、地域の繋がりがある。

 

8.「解決策(④)」について、「家業の強み(③)」が最も活かせそうなものが何かを考えます。

⇒空き家を活用する。

 

9.解決する課題について、どのように家業の強みを生かして解決策へと繋げていくのかの説明を「根拠(⑤)」に書きます。

⇒空き家を活用するために、空き家のリノベーションを行い民泊を手がける事業を行う。当社では地域に根差した不動産情報を有しており、またリフォームも自社で手がけることができるため、適した物件の発掘、リフォームまでを一気通貫で手がけることができる。

 

【リボンフレーム:記入前】

 

【リボンフレーム:記入後】

 

このように、アトツギがビジネスモデルをブラッシュアップしていく上で、リボンフレームで根拠を強くすることが効果的かと思います。

次回以降も、更にビジネスモデルをブラッシュアップする方法などをご紹介していきます。

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